この記事で分かること
- IT志望の人が実際に書いた志望動機54件の傾向
- 勉強と作ったものを軸にした組み立てと、販売・事務・飲食など前職別の言い換え
- 独学・スクール・職業訓練の書き分け
- エンジニア・ヘルプデスク・社内SE・Web制作など例文8本
- ITパスポートや基本情報技術者試験を資格欄に書くときの名称
IT業界に未経験で応募するとき、志望動機で手が止まる理由はだいたい同じです。実務経験がない。勉強は始めたけれど、どこまで書いていいか分からない。「成長したい」「将来性がある」だけで埋めた文は、相談の席でも販売や事務、飲食から来た20代の方からよく見せてもらいます。
履歴書メーカーで実際に書かれた志望動機のうち、IT・エンジニア・システム・パソコンに触れたもの54件を集計しました。みんなが書いている言葉と、ほとんど書かれていない言葉を並べたうえで、エンジニア・ヘルプデスク・社内SE・Web制作の例文を8本載せています。

IT以外の職種は志望動機の例文集【職種別12種】、職種を問わない未経験転職の書き方は未経験の志望動機の書き方にまとめています。
IT志望の人が書いた志望動機54件で分かったこと
2026年8月から10月に履歴書メーカーで作られた履歴書1,240件のうち、志望動機が30字以上あったのは976件。その中で「IT」「エンジニア」「プログラミング」「システム」「パソコン」のどれかが入っていたのが54件です。氏名は外し、文字数と「成長」「勉強」などの言葉が入っているかを数えました。件数は多くないので、傾向として読んでください。

一番差が出たのは「成長」です。IT志望の43%が「成長」と書いていて、全体の13%の3倍以上。「貢献」も54%で、全体より24ポイント多い。「貴社で成長し、貢献したい」という締めが、IT志望の定番になっています。
採用側の手元には、この一文で終わる履歴書が何枚も並びます。
勉強や学習に触れた人は28%、作ったもの(マクロ、アプリ、ツールなど)に触れた人は15%でした。全体と比べればずっと多い。どちらかに触れた人を合わせても35%です。IT志望の6割以上は、もう手を動かしていることを志望動機に書いていません。
意外だったのは資格です。54件のうち21人は資格欄にMOSや情報処理検定、基本情報技術者試験などを書いていたのに、志望動機で資格に触れた人は0人でした。採用担当は資格欄を見ても「なぜ取ったか」までは読み取れません。
文字数は中央値が258字で、全体の162字よりかなり長い。400字を超える人も2割近くいます。書きたいことが多い分、前職の説明で半分を使ってしまう例が目立ちました。書いた人は20代が32人と6割近くを占め、30代が12人。第二新卒や20代後半の応募が中心です。
IT未経験の志望動機の組み立て(4つの話)
IT未経験の志望動機は、次の4つを1〜2文ずつ書けば形になります。
- なぜITの仕事か。前職でパソコンや仕組みに関わった場面を1つ。シフト表を作り直した、レジの導入を手伝った、などで十分です。
- 何を勉強し、何を作ったか。言語や資格の名前、期間か時間、作ったものを書きます。未経験の応募では、面接官はまずここを確かめます。
- なぜこの会社か。研修の長さ、最初に担当する工程、扱っている業界など、求人票から1つ拾います。
- 入社後どうしたいか。最初の1年でやることと、3年後の姿を1文ずつ。
勉強と作ったものの話が抜けると「興味がある人」で終わります。逆に、そこさえ具体的なら、前職がITと無関係でも読んでもらえます。
「なぜこの会社か」で迷ったら、職種の中身を先に押さえます。厚生労働省の職業情報サイト「job tag」にヘルプデスクやシステムエンジニア(受託開発)のページがあり、1日の流れや必要なスキルが載っています。社内の問い合わせに答える仕事なのか、客先の要望を形にする仕事なのか。それが分かると、なぜこの会社かの1文が書けます。
「なぜITの仕事か」の材料は、前職の中にあります。販売や事務の経験をITの言葉に直すと、次の表のようになります。
| 前職 | ITで使える経験の言い方 |
|---|---|
| 販売・接客 | 機械が苦手なお客様に操作を説明してきた |
| 事務 | Excelで集計を自動にし、作業時間を減らした |
| 飲食・店長 | レジやタブレットの導入で手順書を作った |
| 営業 | お客様の要望を聞き取り、社内に伝えてきた |
| 工場・設備 | 異常の記録をさかのぼり、原因を探してきた |
| コールセンター | 1日数十件の問い合わせを記録して引き継いだ |
独学・スクール・職業訓練の書き分け

勉強の話は、学び方によって書く中身が変わります。
| 学び方 | 志望動機に書く中身 |
|---|---|
| 独学 | 言語名、期間、作ったものと公開先 |
| スクール | 受講期間、学習時間、チーム開発の有無 |
| 職業訓練 | コース名、修了時期、修了制作の中身 |
| 資格の勉強 | 資格の正式名称、合格年月か受験予定 |
独学の人は「何を作ったか」が勝負です。小さなものでかまいません。家計簿のアプリ、職場の集計マクロ、自分のポートフォリオサイト。完成して人に見せられるものが1つあれば、「独学しています」より何倍も伝わります。
スクールに通った人は、学習時間を数字で書きます。「半年」だけでは、学んだ量が読み手に見えません。「約600時間」と書けば、本気度が数字で伝わります。
離職中なら、国の職業訓練も使えます。ハロートレーニングはハローワークが窓口の制度です。IT系のコースもあります。受講中でも「12月修了予定」と書けば、志望動機の材料になります。
「エンジニア向け」ボタンから書いたPDFの見本
履歴書メーカーの志望動機欄の上には、「エンジニア向け」「未経験転職向け」などのボタンが並んでいます。下の画像は「エンジニア向け」を押した直後の画面です。

入る文は「これまでの開発経験で培った課題整理力と実装力を活かし」で始まる、経験者向けの書き出しです。未経験の人は、この文の「開発経験」の部分を前職の経験と勉強の話に書き換えてください。「未経験転職向け」のボタンから始めて、勉強と作ったものの話を足す方法もあります。
衣料品店の販売からWeb開発会社に応募する例文をPDFにし、志望動機欄の左側を拡大したのが下の画像です。約250字で欄の半分ほど。シフト表とWebアプリの話までが4行に入り、自己PR2〜3文分の余白が残りました。

第二新卒・20代後半・フリーター・30代のIT未経験の例文
「週3時間から1時間」のような前職の数字と、勉強した言語・作ったものは、自分の実績に差し替えてください。
第二新卒(衣料品の販売2年 → Web開発会社のエンジニア)
新卒で入った衣料品店で2年間、販売とシフト管理を担当しました。手書きだったシフト表を表計算ソフトに置き換えたところ、店長の作成時間が週3時間から1時間に減り、仕組みで人の手間を減らす仕事に就きたいと考えるようになりました。退職後の半年でHTML・CSS・JavaScriptを独学し、在庫を数えるWebアプリを1つ作って公開しています。貴社は未経験者に3か月の研修を設け、2年目から顧客との打ち合わせに同席できると求人票で知り、志望しました。まずはテストと保守から覚え、3年で設計まで任される力をつけます。
ポイント:「週3時間から1時間」と「Webアプリを1つ公開」の2か所で、ITに向いた理由と勉強の実績を数字と物で示しています。短期で辞めた理由の伝え方は第二新卒の志望動機にまとめています。
20代後半(営業事務4年 → 社内SE)
メーカーの営業事務として4年間、受発注と売上集計を担当してきました。毎月の集計に丸2日かかっていたため、Excelのマクロを独学で組み、半日で終わる形に変えています。仕組みを整える仕事を専門にしたい。そう考えたのはこのときです。2026年6月にITパスポート試験に合格し、現在はSQLの基礎を週10時間学んでいます。貴社の社内SEは各部署と一緒に業務システムを見直すと伺いました。営業と経理の間に立って要望をまとめてきた経験は、その調整の場面で使えます。
ポイント:社内SEは「現場の困りごとを聞ける人」かどうかを見られます。マクロで作業を減らした実績が、その答えになっています。
フリーター(家電量販店のパソコン売り場アルバイト3年 → ヘルプデスク)
家電量販店のパソコン売り場で3年間アルバイトをしてきました。初期設定やメールの不具合の相談が多く、1日平均15件ほど対応しています。説明を図にした手書きのメモが好評で、売り場の共有資料になりました。困っている人の話を聞き、順番に原因を切り分けていく作業が自分に向いていると気づき、正社員としてヘルプデスクの仕事に就きたいと考えました。貴社は入社後1か月の電話対応研修があり、2年目からサーバー管理にも関われる点に惹かれました。まずは問い合わせの記録を正確に残すことから始めます。
ポイント:アルバイトでも、1日の件数と「共有資料になった」という結果があれば、実務に近い経験として読まれます。
30代(居酒屋の店長8年 → ITサポート、職業訓練を受講中)
居酒屋チェーンで8年間勤務し、うち5年は店長としてアルバイト20名の採用と育成を担当してきました。店にPOSレジと注文用タブレットを導入した際は、操作の手順書を作り、全員が使えるようになるまで2週間で教えています。機械が苦手なスタッフが一人でレジを打てた日の手応えが、ITの使い方を支える仕事を選んだ理由です。現在は職業訓練のIT系コースでネットワークとパソコンの基礎を学んでおり、12月に修了します。35歳からの挑戦です。教える力を武器に、社内の問い合わせ窓口から経験を積み、2年後には新人向けの研修資料も任されるようになりたいと考えています。
ポイント:35歳の応募で面接官が聞くのは「なぜ今からITか」。年齢には自分から触れ、手順書と2週間という数字で、教える力を先に見せています。
Web制作・プログラマー・インフラ・業界知識を活かす例文
Web制作(事務パート5年 → Web制作会社、職業訓練を修了)
小売店の事務パートとして5年間、チラシと店内掲示物の作成を担当してきました。2025年に店のホームページの更新を任されたことをきっかけに、職業訓練のWebデザインコースを6か月受講し、HTML・CSSでのコーディングとデザインソフトの操作を学びました。修了制作では、架空の美容院のサイトをスマホ表示まで含めて5ページ作っています。貴社は地域の中小企業のサイト制作が中心で、更新作業から担当できると知り、応募しました。お店の側で「何を載せたいか」を考えてきた経験を、お客様の要望を形にする場面で使います。
ポイント:この例文の順番は、きっかけ→訓練→修了制作→会社の特徴。制作物は履歴書と一緒にURLを渡せるようにしておきます。
プログラマー(法人営業3年 → 自社開発、スクールを修了)
法人営業として3年間、業務用ソフトの提案を担当してきました。導入後の不具合を相談されても自分では直せず、開発の方に頼るたびに、作る側に回りたいという気持ちが強くなりました。スクールで半年、JavaとSQLを約600時間。卒業課題では、営業時代に欲しかった顧客管理アプリを3人のチームで作りました。貴社は研修後にテスト工程から入り、先輩と2人で案件につく体制と伺っています。お客様の言葉を仕様に直す役目なら、営業の3年がそのまま役に立つはずです。
ポイント:「3年」「約600時間」「3人のチーム」と、数字を3つ入れました。書くのは、何時間学んで何を作ったかです。
インフラエンジニア(工場の設備保全6年 → サーバーの監視・運用)
自動車部品の工場で6年間、生産ラインの設備保全を担当してきました。異常のアラームが鳴ると記録をさかのぼって原因を探す仕事が多く、24時間止められない設備を守る点は、サーバーの運用と同じだと考えています。2025年に基本情報技術者試験に合格しました。自宅では中古のパソコンにLinuxを入れ、Webサーバーを立てる練習を続けています。貴社は監視・運用の業務から始まり、資格の受験費用を会社が負担すると伺いました。夜勤を含む交代勤務にも6年間慣れてきたので、シフトの面でも続けられます。
ポイント:インフラの監視・運用は交代勤務の求人が多い職種です。資格と自宅での練習に加えて、夜勤に慣れていることも書いています。
業界の知識を持ち込む(介護職5年 → 介護ソフト会社のカスタマーサポート)
介護施設で5年間働き、記録ソフトの担当として職員30名から操作の質問を受けてきました。記録の入力に1人1日40分かかっていたのを、入力項目の並びを見直す提案で25分に縮めています。現場の困りごとをソフトの側から解決する仕事に関心を持ち、介護ソフトを開発している貴社のサポート職を志望しました。ITの実務経験はありません。ただ、電話口の介護職員が何に困っているかは、自分のこととして分かります。ITパスポートは来年3月までに取得する予定です。
ポイント:IT企業の多くは特定の業界向けにソフトを作っています。前の業界の知識は、IT経験の代わりになる強みです。
ITパスポート・基本情報技術者試験の書き方(資格欄と志望動機)

集計では、資格欄にIT系の資格を書いた21人のうち、志望動機で資格に触れた人は1人もいませんでした。資格は免許・資格欄に正式名称で書き、志望動機でも「いつ取ったか」「なぜ取ったか」に1文触れると、勉強の話に裏付けができます。
ITパスポートの合格も基本情報技術者試験の学習中も、学歴・職歴の画面の下にある免許・資格欄に「行を追加」で1行ずつ書けます。下の画像は、ITパスポート試験の合格と、基本情報技術者試験の学習中を入れた状態です。

PDFでは、学習中の基本情報技術者試験も、合格したITパスポートと同じく年月つきで並びます。

ITの資格は略称で呼ばれることが多いので、履歴書に書く正式名称を並べておきます。
- ITパスポートは「ITパスポート試験 合格」。ITを使う社会人向けの国家試験で、試験の概要はIPA(情報処理推進機構)のITパスポート試験のページにあります
- 基本情報技術者は「基本情報技術者試験 合格」。ITのものを作る人向けの国家試験です。科目Aと科目Bの構成は基本情報技術者試験のページで確かめられます
- MOSは「マイクロソフト オフィス スペシャリスト Excel 365 取得」のように科目まで。事務からの応募なら、ヘルプデスクや社内SEでも使えます
- 勉強中は「基本情報技術者試験 学習中」。受験日が決まっているなら「基本情報技術者試験 2027年1月受験予定」と書きます
資格欄の書き方全般は履歴書の資格欄の書き方にまとめています。
IT未経験の志望動機で読み飛ばされる書き方
- 「成長したい」「将来性があるから」だけで終わる。IT志望の43%が書いている言葉です。何を勉強したかを1文添えます
- 「パソコンが好きなので」。好きなことと仕事にできることは別に読まれます。使ってきた場面を書きます
- 「研修が充実しているので」。教わる気だけに見えます。研修の後に何を担当したいかまで書きます
- 前職の不満から書き始める。「今の仕事に将来性がない」は、辞めた理由に見えます。伝え方は退職理由の書き方を参考にしてください
- 勉強の話が「少しずつ勉強しています」で止まる。言語名と時間か期間がないと、伝わりません
よくある質問
Q. 文系でIT未経験でも、志望動機は書けますか?
A. 書けます。未経験の応募で見られるのは、もう手を動かしているかどうかです。言語名、学習時間、作ったものを1文ずつ入れれば、文系でも同じ土俵に立てます。
Q. 資格がなくても応募していいですか?
A. 問題ありません。資格がなければ、独学の成果物やスクールの学習時間を書きます。受験日を決めているなら「来年3月にITパスポート試験を受験予定」と書くだけで、計画は伝わります。
Q. 30代からIT未経験で応募するときは、何を書けばいいですか?
A. 前職で人に教えた、仕組みを変えた、トラブルを解決した場面を1つ選びます。ヘルプデスクや社内SE、業界向けソフトのサポート職は、前職の経験がそのまま評価されやすい入口です。職務経歴書と合わせて書くなら職務経歴書の書き方も参考にしてください。
Q. 志望動機の文字数はどれくらいがいいですか?
A. 200〜300字。IT志望の54件は中央値258字で、全体より長めでした。400字を超えると欄からはみ出しやすいので、前職の説明を2文までに削ります。Web応募でPDFを送るときはWeb応募のPDFの送り方も見ておくと安心です。
まとめ
IT未経験の志望動機に入れるのは、ITを選んだ理由、勉強して作ったもの、その会社を選んだ理由、入社後の1年と3年後の4つです。
実際に書かれた54件では、「成長」は全体の3倍以上、「貢献」も2倍近く出てくるのに、資格に触れた人は0人、作ったものに触れた人は15%でした。「成長したい」を1文減らし、勉強と作ったものを1文ずつ足す。
例文を選んだら、そのまま履歴書に
- 履歴書を無料で作成する:志望動機欄に貼り付けて、会社名と経験を差し替えるだけ
- 志望動機の例文集【職種別12種】:IT以外の職種の例文

